ヒスチジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ヒスチジン
構造式 スティックモデル
一般情報
系統名 (S)-2-amino-3

-(1H-imidazo-4-yl)propionic acid
((S)-2-amino-3 -(1H-imidazo-4-yl)propanoic acidでも可)

略号 His, H
分子式 C6H9N3O2
分子量 155.15 g/mol
SMILES C1=C(NC=N1)CC(C(=O)O)N
CAS登録番号 [71-00-1]
性質
融点 282 °C(分解)
溶解性 ギ酸に易溶
エタノールジエチルエーテルに不溶
塩酸に可溶
水への溶解度
(g/100 g)
3.84 (20℃)
5.78 (40℃)
8.62 (60℃)
pKa 1.70
6.04
9.09
等電点 7.59
ファンデルワールス体積 118
密度 g/cm3
L体: 苦(閾値 0.2 mg/mL)
D体: 甘

ヒスチジン (histidine) はアミノ酸の一種で2-アミノ-3-(1H-イミダゾ-4-イル)プロピオン酸のこと。名前はギリシャ語で「組織」という意味。

塩基性アミノ酸の一種で、必須アミノ酸糖原性を持つ。側鎖にイミダゾイル基という複素芳香環を持ち、この部分の特殊な性質により酵素活性中心や、蛋白質分子内でのプロトン移動に関与している。蛋白質中では金属との結合部位となり、あるいは水素結合やイオン結合を介してとしてその高次構造の維持に重要な役割を果たしている。 ヒスタミンおよびカルノシン生合成の前駆体でもある。

目次

[編集] イミダゾイル基

窒素原子に結合したプロトン (H+) の着脱を起こし、塩基または非常に弱い酸として働く。また、二重結合の位置と水素原子が移動した互変異性体が平衡状態にある。いずれの構造の場合でも、水素原子を持たない側の窒素原子が容易に水素原子と反応し、同時に他方の窒素原子上にある水素原子を放出する。結果として、水素原子を運ぶ担体として機能することができる。

イミダゾイル基上の平衡

炭酸脱水酵素中では活性中心の亜鉛に結合した水分子からプロトンを引き抜いて活性型を再生させ、触媒三残基においてはセリンスレオニンシステインからプロトンを引き抜き、それらを求核剤として活性化させる役割を果たす。

[編集] 合成法

フルクトースホルマリンアンモニアからヒドロキシメチルイミダゾールを作り、この塩化物にアセトアミドマロン酸エステル縮合して作る。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク