SSBC (Systems and Structural Biology Center)

回折実験
http://metadb.riken.jp/db/SciNetS_ria46i/cria46u1i

回折実験

X線結晶構造解析

タンパク質結晶の回折強度測定と位相決定には、大型放射光施設SPring-8にある2つの構造生物学ビームライン(BL44B2と BL45PX)、そして2つの構造ゲノムビームライン(BL26B1とBL26B2) 、あるいは研究室内X線発生装置を使用しています。放射光の利点は、精度の高い構造解析を可能にする回折データを大量かつ迅速に得ることができる点にあります。さらに、位相を決定する手法の1つであるMAD法を用いることもできます。理研構造ゲノムビームラインBL26B1、B2では、膨大な数の結晶試料の迅速回折強度測定の自動化・ロボット化によって、効率的な連続運転を実現しました。自動化・ロボット化の具体例としては、ビームラインを一括制御するソフトウェア、結晶自動センタリングソフトウェアの開発などを中心とした回折データ収集システムの構築、サンプルチェンジャーなどがあります。

ビームラインでのデータ測定の簡便化、実験の効率化を図るために、インターネットを介して実験条件や測定データなどのやり取りを行うデータベースD- Chaを開発、導入しています。BL26B2では、SPring-8サイト外から凍結サンプルを宅配便で受け付け、ビームラインオペレーターがユーザーに代わって実験を行う「メールインデータ収集」による実験が可能です。

一方、結晶化したタンパク質試料の評価や、分子置換法による立体構造解析には研究室内X線発生装置を使用しています。さらに、ヨードチロシンのタンパク質への部位特異的な導入法を開発し、SAD法と組み合わせたX線結晶解析法を開発しました。SAD法は、広く用いられているSeMetを用いたMAD法を補う有用な方法です。SeMetを使用する方法は、メチオニン残基が少ないタンパク質には適用できないこと、高分解能の構造を得るためには大規模な放射光施設で測定を行う必要があること、SeMet自身の毒性が強く取り扱いが難しいこと、構造解析のサンプルを大量に作らないといけないので手法によってはSeMetがメチオニンの代わりに取り込まれる効率が 100%でないために解析に必要なシグナルが弱まること、等の問題点があります。ヨウ素含有タンパク質結晶試料をSAD法で解析する方法はこれらの問題点から免れており、実験室内回折系(特にクロムターゲット)の使用が可能です。

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