研究DX化推進ファンド

令和3年度 研究データ利活用推進支援課題(研究DX化推進ファンド)

オープンサイエンスにおいて、研究データの利活用を推進していくためには、従来の研究に研究情報管理を組み込む必要があります。具体的には、研究のデジタル変革(研究DX化)と呼ぶ一連の情報技術の活用、すなわち、研究情報のデジタル化、研究データ管理基盤を活用した研究データ収集、研究データ解析及び利活用推進に必要な適切なデータ形式の選定等の新たな課題に取り組むことが求められます。さらには研究成果最大化を図るには、従来の研究を減速させることなく、このような情報管理の計画や活用方法を適切に定める必要性から、情報学研究者による支援が必須と考えれます。

そこで、基盤研究開発部門では、研究分野を問わず理研全体で研究DX化を進めていくために、下記の各重点項目について、理研内の研究者あるいは研究グループに対し、情報技術やDX化費用を支援するため、研究データ利活用推進支援課題(研究DX化推進ファンド)を企画し、所内公募を行いました。

  • 理研研究者あるいは研究グループに対しオープンサイエンスの技術を支援することで、研究加速や研究領域の拡張を促すなどの変革をもたらすとともに、新たな研究の方法を確立する
  • オープンデータを含むオープンサイエンスに取り組みやすい環境(情報による研究支援の枠組み)を整え、より多くの研究者にオープンサイエンスへの参加を促する
  • 研究フローにデータの利活用を含む「データ駆動型研究」を様々な分野で立ち上げ、知識の還流が促されることでイノベーションを誘起する

この所内公募に対し14件の応募があり、このうち10件を採択しました。令和3年10月15日から令和4年10月14日までの1年間の研究期間を設け、各プロジェクトが現在進行中です。以下、本課題の審査委員長の総評と採択課題を掲載します。


<総評> 情報統合本部基盤研究開発部門 美濃導彦(審査委員長)

研究データ利活用推進支援課題(研究DX化推進ファンド)(以下、「本公募」)においては、オープンサイエンスや研究のデジタル変革(研究DX)を推進する理研研究者への支援を目的に所内公募を行いました。本公募には短い公募期間にも関わらず14件の応募があり、オープンサイエンス推進に資する優れた提案が数多く含まれており、提案を頂いたすべての研究者の方に、また分野を問わず多くの研究者の方に深い関心を持って頂いたことに深く御礼を申し上げます。 審査は、厳正かつ公正に審査・選考を進めるために、情報統合本部内に審査委員会を設置し、理研内の様々な研究分野の研究者12名にもご協力頂いて審査を行いました。当初、8件程度を採択することにしておりましたが、様々な研究分野からの提案があり、特にオープンサイエンス推進への貢献度や期待される成果の妥当性において優れた内容の提案に対し、予算の制限の中でより多様な支援を行うべく、上記10件の提案を採択することといたしました。 採択された課題においては、メンターである部門の研究者とともに研究データ管理計画(DMP)を立案頂き、それに沿って研究開発を1年間推進して頂きます。採択された研究者の方にはこれらの課題推進を通じて、理研の研究データ利活用推進の先導役を担っていただき、また理研全体のオープンサイエンスの発展に大いに貢献していただくことを衷心より期待します。

以上